「既卒者でも新卒扱いしてくれる」といった情報をネットで見かけることもあるかと思いますが、「既卒者の新卒扱いがいつまでなのか」気になる方もいるのではないでしょうか?
当記事では「既卒者の新卒扱いはいつまでなのか」といった内容を皮切りに、既卒者を取り巻く環境や新卒扱いで内定を獲得する方法など幅広くご紹介します。
新卒扱いで内定を獲得したい既卒者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
既卒者が新卒扱いされる期間は「学校卒業後3年以内」
既卒者が新卒扱いされる期間は「学校卒業後3年以内」です。
厚生労働省が平成22年に青少年雇用機会確保指針を改正し、「大学卒業後3年以内は新卒として扱うこと」という通達を出しました。
この通達により、2012年春の採用から卒業後3年以内の既卒者を新卒扱いで採用する企業が年々増え続けている状況にあります。
既卒3年以内は新卒扱いとはいえ新卒よりは不利な状況
国からの通達により既卒3年以内は新卒扱いとなりましたが、法的拘束力がないために実際には新卒者が優遇されている状況があるようです。
こちらでは、既卒者の就活事情について触れていきます。
既卒者がすべての企業の新卒枠に応募できるわけではない
「既卒3年以内は新卒扱い」という指針はあくまでも指針なので、導入していない企業もあるようです。
既卒者でも新卒枠で応募可能かどうかは、求人サイトや企業の採用ページに記載されている「募集資格」や「応募対象者」を確認しましょう。
「○年度卒業見込みの大学生、または大学院生」など新卒向けの内容のほかに、「既卒可」や「○年以降に大学・大学院を卒業・修了した方で就業経験のない方」のような既卒向けの内容があれば応募できます。
募集資格欄に何も書いていない場合は基本的には既卒は対象外ですが、どうしても気になる企業であれば既卒者も応募可能かどうか電話やメールで問い合わせてみましょう。
新卒よりは不利だが新卒枠で就職できないわけではない
既卒3年以内であっても「すべての企業の新卒枠に応募できるわけではない」既卒者ですが、新卒枠で就職できないということではありません。
新卒枠で応募できる企業は年々増加傾向
(引用元:厚生労働省若年者雇用対策室「平成28年度全国キャリア・就職ガイダンス」)
こちらのグラフは、既卒者の新卒枠での応募受付状況を表したものです。
2015年の時点では既卒者が新卒枠で応募可能な企業は全体の70%にも上り、そのうち37%が採用に至っています。
2016年以降のデータはまだ出ていませんが、昨今の人手不足も相まって既卒者が応募可能な企業の割合はさらに増えていると考えられます。
卒業後2年~3年以内でも応募可能な企業は5割以上
(引用元:厚生労働省若年者雇用対策室「平成28年度全国キャリア・就職ガイダンス」)
こちらのグラフは、新卒扱いで既卒者を受け入れると回答した企業が卒業後何年であれば応募可能か回答したものです。
こちらの調査によると、2015年時点では卒業後2年~3年以内でも応募可能との回答が最多で52%、次いで卒業後1年以内が25%、卒業後1年~2年以内が15%でした。
こちらも2016年以降のデータがありませんが、卒業後2年~3年以内はやや増加傾向にはあるので、卒業後3年以内であれば十分内定を獲得できる可能性があると言えます。
既卒者を新卒扱いで採用する企業にはどんな企業がある?
それではこのように既卒者を新卒扱いしてくれる企業には、具体的にどのような業界や企業が見受けられるのでしょうか?
既卒者を新卒扱いしてくれる企業が多い業界とは?
自動車、食料、電気などの製造メーカーの多くは、卒業後3年以内の既卒者を新卒扱いで採用しています。
ゆうちょ銀行や日本生命、第一生命などの金融・保険業界も、意外と既卒者を新卒扱いで採用する傾向があるようですが、企業により既卒者の扱いは異なると考えておいた方が良いでしょう。
具体的な会社名を知りたい方は以下もご覧ください。
公務員試験は年齢制限を越えなければ新卒扱いしてもらえる
民間企業ではありませんが、公務員試験は「年齢上限」を超えていない既卒者であれば新卒扱いで採用してもらえます。
例えば消防士の場合、地方自治体によって差はありますが30歳未満であれば採用試験を受けられます。
国家公務員は職種によって差があるものの、おおむね30歳くらいまでが新卒扱い。
受験年齢制限を設けている公務員試験は、既卒かどうかを気にしていないので既卒者にも受験の門戸が開かれています。
新卒扱いで選考を受けるメリット
「既卒者を新卒扱いで採用してくれる企業がある」ということがお分かり頂けたかと思います。
しかしながら新卒者よりは不利な状況ではあるので、新卒枠に応募するかどうか迷う方もいるのではないでしょうか?
新卒扱いで入社すると、以下のようなメリットがあります。
- 採用枠が多い
- 特別なスキルを必要とされない
- 同期ができる
- 入社後の研修が充実している
新卒枠に応募するかどうか迷っている方は、これらのメリットを踏まえた上で応募を検討してみてはいかがでしょうか。
採用枠が多い
中途採用は退職者を想定した人員補充が主な目的のため、一度に採用する人数は1~3名程度が一般的。
事業拡大のための採用でも、10名前後の募集を繰り返して徐々に人数を増やしていくケースが多いようです。
一方、新卒採用では中小企業では10名程度~、大手企業や有名企業であればグループ全体で数百名規模で採用活動を行っています。
新卒枠は就活解禁とともに応募が殺到するため倍率は高めですが、採用枠が多いのでチャンスが広がっていると捉えることもできるでしょう。
特別なスキルを必要とされない
中途採用では求められるスキルが高く、「○○のスキルがある方」「○○経験のある方」というような応募条件も見受けられます。
中途採用の場合はこのように全くの未経験者を積極的に採用するケースは少なく、「未経験者歓迎」の求人であっても、ビジネスマナーや立ち振る舞いが完璧であったり、仕事への意識が高い人が求められています。
一方、新卒採用の場合は応募者が全員「未経験者」で中途採用のように特別なスキルを求められるケースがあまりないので、中途採用よりは採用される可能性が高いと言えます。
同期ができる
新卒扱いで入社すると、同期がいて安心できるというメリットも。
個人プレーが好きな方はそれほどメリットに感じられないかもしれませんが、仕事や職場の悩みは上司や先輩に相談し難い場合もあるので、気軽に相談しやすい同期は貴重な存在です。
また同じ立場からのスタートのため、お互いを意識して成長しあえる関係性も築くこともできます。
入社後の研修が充実している
新卒扱いで入社すると、新入社員研修でビジネスマナーや仕事に必要なスキルを時間をかけて学ぶことができます。
一方、中途採用の場合はマンツーマンか少人数での研修なので、より短期間で実務的な内容が学べる傾向にありますが、新卒扱いのような新入社員研修がないケースが多いので、新卒扱いの方が研修が充実していると言えるでしょう。
既卒者が新卒扱いで内定をもらうには?
それでは、既卒者が新卒扱いで内定を獲得するにはどうしたら良いのでしょうか?
こちらでは、既卒者が新卒枠で内定を獲得するためのコツをご紹介します。
既卒になった理由を説明できるようにする
以下のような「既卒になった理由」にまつわる質問は必ず聞かれます。
- なぜ既卒になったのか?
- 在学中に就活をしなかったのか?
- 新卒の就活に失敗したのか?
このような質問に対して、嘘をついたり言い訳に聞こえるような受け答えをすると印象が悪いです。
しっかりとした理由を話したり、失敗経験をふまえて改善したことなどを話すと、仮に在学中の就活に失敗していたとしても好印象に転じることができます。
空白期間に何をしていたかをアピールする
既卒者のことを「何か就職できなかった理由があるのでは…」などと色眼鏡で見ている面接官は多いです。
このような印象を塗り替えるためには、「空白期間中に就職するために何をしていたのか」をアピールする必要があります。
業界研究や企業研究、ビジネスセミナーやインターンシップへの参加など、空白期間中にしてきたことを具体的にアピールできれば好印象になるでしょう。
何らかの武器を身に付けアピールする(留学・資格・アルバイト経験など)
選考の場に同じレベルの既卒者と新卒者がいた場合、採用担当者はよほどのことがない限り新卒者を選びます。
既卒者はこのように新卒者よりも不利な状況にあるので、既卒のハンデを乗り越えるような武器が必要になります。
具体的には留学やアルバイトの経験や、資格取得などが既卒者の武器になります。
特に業務に直結する資格を取得していると一目置かれるので、積極的に資格取得することをおすすめします。
就活サイトや就職エージェントを活用する
内定率を高めるたいなら、既卒者向けの就活サイトや就職エージェントを活用するのもおすすめです。
既卒者向けの就活サイトや就職エージェントを利用すると、既卒に特化した情報が得られるだけでなく、既卒者の採用に積極的な企業が多いので内定獲得の可能性が高い傾向があります。
新卒者向けの就活サイトでは見つけられなかった求人に出会える可能性もあるので、既卒者向けの就活サイトや就職エージェントを活用することをおすすめします。
既卒者が就職する方法はさまざま
ここまでは既卒者が新卒扱いで就活する場合についてご紹介してきましたが、既卒者が就職する方法は新卒枠以外にも考えられます。
既卒者が就職する方法には「新卒枠で応募」「中途枠で応募」「公務員試験を受験」という3つの可能性があるので、それぞれ大まかにチェックしてみましょう。
新卒枠に応募する
冒頭でもお伝えしましたが、既卒3年以内なら新卒扱いしてもらえるので新卒枠に応募できます。
しかし残念なことに、経歴にブランクのある既卒者は「何か問題がある人物なのでは?」などとマイナスイメージを持たれている傾向があるので厳しい就活になりがち。
企業・業界研究や選考対策を十分にしたり、前述した既卒のハンデを乗り越えるような武器を活用して就活に臨む必要があります。
未経験の中途採用枠に応募する
既卒者は未経験の中途採用枠でも応募可能ですが、同じ枠に応募してくる第二新卒と比較すると「社会人経験がない」という点で劣ってしまいます。
この場合は、第二新卒に負けないぐらいのやる気やポテンシャルをアピールしたり、アルバイト経験で社会人としての基礎を身につけたことを伝えるように心がけると◎
既卒者向けの就活サイトや就職エージェントを利用して就職活動を進めるのもおすすめです。
公務員試験を受験する
民間企業にこだわりがないなら公務員試験もおすすめです。
試験勉強は大変かもしれませんが、公務員試験は30歳未満であれば受けられる場合が多く、合格すれば新卒扱いで採用してもらえます。
細かい年齢制限は自治体によって異なるので、受験前に応募要項を確認しておきましょう。
新卒扱いの既卒者でも中途採用が受けられる
既卒者が就職する方法には「新卒枠」以外にも「中途枠」や「公務員試験」があることをお伝えしてきました。
ここからは中途採用に注目して、既卒者が中途採用を受けるメリットとデメリットを解説していきます。
中途採用のメリット
選考の期間や回数が新卒よりも少ない
新卒扱いの選考では、エントリーシートや履歴書などの書類選考、グループディスカッションや複数回の面接を経てようやく内定となります。
新卒枠では内定が出るまでに少なくとも1ヶ月はかかるのが一般的ですが、企業によってはさらに長いケースもあります。
一方、中途採用は履歴書の書類選考に加えて1~2回程度の面接のみで済むケースがほとんど。
早い人なら半月、遅くとも1、2ヶ月で内定が出るので、新卒枠よりも選考の期間や回数が少ないと言えます。
その時にしか出会えない求人がある
中途採用は退職者の補填や事業拡大に伴う人員補充である場合がほとんどなので、不定期の採用となります。
人材不足な企業では数ヶ月おきに募集することがありますが、反対に充足している企業は数年単位でしか補充をしないこともあります。
視野を広げて就活をしていけば、その時にしかない自分の理想的な求人に出会えることもあるでしょう。
入社時期に柔軟に対応できる既卒が重宝される
人材不足で少しでも早く人員を補充したいと考えている企業からすると、入社時期の調整がしやすい既卒者は貴重な人材です。
在職中の人がこれから退職の準備を始めるとなると、入社まで1ヶ月以上はかかってしまいます。
専門的な技術などが必要な場合は経験者を優遇する可能性は高いですが、「未経験者歓迎」の求人であればすぐにでも入社できる既卒者が優遇されるでしょう。
人材不足の業界なら未経験者でも積極的に採用してくれる
「中途採用枠は経験者が優遇される」イメージが強いですが、人材不足の業界や職種では積極的に未経験者を採用して現場で人材育成していく傾向があります。
人材不足の業界や職種なら採用に至るまでの過程も少なく研修も実務的な内容なので、すぐに職場環境に慣れることができるというメリットもあります。
中途採用のデメリット
採用枠が少ない
中途採用では一度の採用人数が数名程度で少ないのがデメリット。
新卒採用のように一斉に就活がスタートするわけではないので応募者が殺到することはありませんが、それでもライバルはいるはずです。
第二新卒や経験者も応募してくるので、厳しい戦いになる可能性が高いでしょう。
経験者が優遇されやすい
未経験者を歓迎している業界や職種もあるものの、中途採用では基本的に経験者が優遇されます。
大手企業や有名企業では、「未経験者歓迎」の求人であってもそれなりの知識が求められる場合も。
他のライバルと差をつけるためにも、関連した資格を取得するなどして知識やスキルを身に付けて臨む必要があります。
希望の企業・職種の求人が見つかるとは限らない
自分が就活するタイミングで希望する企業や職種の求人が出るとは限りません。
気になる企業や職種の求人をひたすら待つのはあまり現実的ではないので、視野を広げて多くの求人を探す必要があるでしょう。
中途採用枠は、応募者側の「就職したい」と企業側の「人材がほしい」という互いのニーズとタイミングがマッチした状態にあるので、すぐにでも働きたい人は中途枠がおすすめです。
一方、新卒枠は4月の入社になるので、一刻も早く就職したいという方には向いていないでしょう。
このようなことも踏まえて、新卒枠に応募するのか中途枠に応募するのかを検討していきましょう。
既卒者が新卒枠を逃しても「第二新卒」が狙える
既卒者が新卒扱いで就職しようとしても、「自分の希望する企業や職種の求人が出てこない」「応募したものの内定を獲得できなかった」といったケースもあります。
このような場合は「第二新卒」を狙うのがおすすめです。
第二新卒とは「学校卒業後、一度正社員として就職したが数年の内に退職した求職者」のことで、「社会人経験の有無」が既卒者との違いです。
既卒3年以内に希望する企業の求人がなかったり内定を獲得できなかった場合は、一度同業他社へ就職して経験を積みながら第二新卒としてチャレンジするのが良いでしょう。
第二新卒の期間に明確な定義はありませんが、採用側は「企業を支える次世代」を求める傾向があるので、20代前半~後半の年齢層が有利といえるでしょう。
既卒の就活 よくある質問Q&A
ここからは、既卒者の方が気になる質問をQ&A形式でご紹介します。
疑問点を解消してスムーズに就活を進めていきましょう。
就職留年と就職浪人(既卒)ではどちらが有利ですか?
就職活動のために留年する就職留年と就職浪人(既卒)では、就職留年の方がやや有利です。
近年は既卒の採用も増加してきたとはいえ、経歴にブランクのない新卒の方が好まれる風潮は根強いです。
そのため、新卒と同じ土俵に立てるという点で就職留年する方がやや有利と言えるでしょう。
ただし、就職留年をすると留年した分の学費を払わなければなりません。
国立大の1年の学費は約80万円、私立大学の1年の学費は約110~150万円が平均。
どちらの道を選ぶにしろ、困難があることを覚悟した方が良いでしょう。
新卒扱いに年齢制限はありますか?
大卒の場合は25歳前後まで新卒扱いされますが、学歴によって新卒扱いとなる年齢は異なります。
専門学校卒と大学院卒のケースも見てみましょう。
専門学校卒
専門学校は在籍期間が2年か3年間なので、卒業の時には20歳もしくは21歳です。
そのため、その年齢に3年を足した「23歳もしくは24歳まで」は新卒扱いしてもらえます。
しかしながら、大学を中退して専門学校に入った人や、社会人になったものの退職して専門学校に入った人もいます。
そのような場合は20代後半になってしまいますが、20代後半の専門学校卒の場合、新卒扱いでの就活は厳しいものになるでしょう。
大学院卒
大学院卒はストレートに入学して卒業すると24歳なので、27歳くらいまでは新卒扱いしてもらえます。
理系で博士課程までいくとストレートに入学して卒業すると27歳、新卒扱いは30歳くらいまでです。
年齢的に不利に思えるかもしれませんが、院卒の場合は特徴的な技術や知識があれば不利になることはないでしょう。
既卒者でも大手企業に採用してもらえますか?
既卒者でも大手企業に採用してもらえます。
知名度の高い有名企業は厳しいかもしれませんが、BtoB(法人向け)で知名度が低い企業では既卒者を積極的に採用するケースが多いです。
ただし大手企業に採用されるには、押さえるべきポイントがあります。
- なるべく早く行動開始する
- できるだけ多くの企業に応募する
- 企業の情報を集めて求める人物像を分析する
- 選考対策を入念にする
- 既卒者向けの就活サイト・就職エージェントを活用する
- インターンに参加する
- 就職に有利な資格を取得する
以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
就活の相談をしたい・サポートを受けたい方は既卒者向けの就職エージェントがおすすめ
既卒者は「卒業後3年以内」であれば新卒扱いしてもらえますが、新卒よりは不利な状況にあるのでどうしたら良いのか迷う方もいるのではないでしょうか。
そんな方には、既卒者向けの就職エージェントがおすすめ。
既卒者向けの就職エージェントは、専任のキャリアアドバイザーが就活の相談に乗ってくれますし、既卒者の就活事情に詳しいので適切なアドバイスをしてくれます。
また履歴書添削や模擬面接などの選考対策もしてくれるので、より確実に内定を獲得したい方は無料会員登録をしてみてはいかがでしょうか。
既卒者は新卒扱いにこだわらなければ就職できる
「既卒者の新卒扱いはいつまでなのか」といった内容を皮切りに、既卒者を取り巻く環境や新卒扱いで内定を獲得する方法など幅広くご紹介してきました。
既卒者は「卒業後3年以内」であれば新卒扱いしてもらえます。
しかしながら新卒者よりも不利な状況にあるのは変わりないので、ポイントを押さえて戦略的に就活をしていく必要があります。
このような既卒の就活に不安のある方は、専門的なアドバイスを受けられる既卒者向けの就職エージェントを利用することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。