転職回数は何回までならOKなのか気になる人が多いのではないでしょうか。また、転職回数が多いことに引け目を感じてしまう人もいるでしょう。
しかし転職回数が多くても、企業に採用したいと思わせるほどの人材になれば、転職成功への道は開かれます。何も難しいことはなく、誠実な心と少しの工夫で企業への印象が劇的に変わるのです。
当記事では、転職回数は何回までなら大丈夫なのか、転職回数が多くても転職に成功するポイントを解説します。転職回数が多い人が面接で聞かれる質問と回答例も記載していますので、参考にしていただけたら幸いです。
転職回数は何回までが許容範囲か知ろう
ここでは、転職回数は何回までなら許されるのか、転職回数が多いとなぜ不利になるのかご紹介します。さらに、転職回数以外で企業が注目するポイントも併せて見ていきましょう。
男女・年代別の転職回数
男女・年代別の転職回数をご紹介するうえで、内閣府が集計したデータを参考に説明します。下記の図は、性別・年代別、正社員・非正社員に分類した転職の割合を示しています。
画像引用元:内閣府 第1 節職業キャリア形成の変化
正社員の男性は転職回数0回の割合よりも、1回以上転職を経験している割合が高くなっています。年代別で見ると、30代前半で1回以上、40代後半~50代前半で2回以上転職経験があるようです。
一方で、女性や非正社員の男性は転職回数が2回以上の割合が高くなっています。年代別で見ると、女性は20代で1回以上、40代・50代で2回以上の転職経験があるようです。非正社員の男性は、30~50代まで転職回数2回以上の割合が高くなっています。
企業は転職回数を何回目から気にする?
転職回数を何回目から気にするかは企業によって異なりますが、おおよそ20代は3回、30代は5回以上だと多いと思われてしまう傾向があります。
一方で、30代・40代については転職回数は気にしないという企業も多いようです。なぜなら、30代・40代には即戦力やスキル・経験値が重要になります。そのため、転職回数よりも今までの仕事で培われた能力を重視されることも念頭に置いておきましょう。
転職回数が多いと採用が不利になる理由とは?
転職回数の多い人が企業から持たれる印象は主に下記3つです。
・スキルが分かりづらい
・人間性に何か問題があるのではないか
正社員を1人採用するためには当然ながらコストがかかります。すぐに辞められてしまうと企業にとって大きな損失に。そのため、長く働き続けられるかどうかが重要視されます。
様々な業界・職種を経験している場合は、どういったスキルを身につけているのか見えにくいだけではなく、極められたスキルがないように思われてしまいます。
また、転職が当たり前の時代になりつつあるとは言うものの、何度も転職をしている人へのイメージは良くないことも事実です。あなた自身に何か問題があるのではないかと人間性を疑われる傾向があります。
転職回数の他にも企業が着目するポイント
採用する際に企業が着目するポイントは、転職回数だけではありません。転職回数の他にも企業が着目するポイントを3つご紹介します。
短期間での転職が続いていないか
数ヶ月や半年、1~2年未満という短期間での転職が続いていないか企業はチェックします。1社ごとの在籍期間が短いと、マイナスイメージになることは避けられません。
短期間で転職が続いている場合は転職理由が重要です。両親の介護といったやむを得ない事情でないのであれば、なぜ短期間での転職が続いてしまったのか伝え方が重要になります。
本人がきちんと成長できているか
転職してきたそれぞれの仕事を通して、本人がきちんと成長できているのか企業は目を光らせます。そのため、今までの経験でどんなスキルや能力が身についているのかが大切です。
後先考えずに転職を繰り返し、その度にポジションや年収などが下がっているのであれば成長するどころか逆に後退しています。向上心を持って仕事に取り組んでいるか見つめ直しましょう。
キャリアプランに沿った転職になっているか
将来をきちんと考えたうえで転職をしているのか、つまりキャリアプランに沿った内容になっているのか企業は確認します。あなたが何のために転職をしてきたのかが重要です。
仕事内容に飽きた、人間関係が悪かったといったネガティブな転職が続いていると、すぐに環境や周りの人のせいにすると思われてしまいます。キャリアアップのための前向きな転職であることを説明できるようにしましょう。
転職回数が多くても転職に成功するポイント
転職回数が多くても企業から採用したいと思われる魅力的な人材はたくさんいます。ここでは、転職回数が多くても転職に成功するポイントを10個見ていきましょう。
転職回数を偽らない
転職回数を誤魔化してもバレる可能性もあるため、決して転職回数を偽らないようにしましょう。
転職回数の虚偽が発覚した場合、民法上の不法行為に該当することも。転職回数を偽ることは、いわゆる経歴詐称にあたります。入社前であれば、内定取り消しは避けられないでしょう。
もし入社後に発覚すると、解雇処分となる可能性が高いです。仮に解雇とならずとも、信用を失い今までのように仕事をするのは難しくなるかもしれません。
軽はずみな気持ちで転職回数を偽ると、払う代償が大きいことを肝に銘じておきましょう。
転職の理由・転職の目的を明確にする
どうして転職をしたいのか、転職することで何を実現したいのかという転職の理由と目的を明確にしましょう。
転職理由と目的が曖昧のまま転職活動を始めると、転職に失敗します。転職すること自体が目的となってしまうケースも。自分の中に1本ブレない軸を持つことが何よりも大切です。
転職の理由と目的をハッキリさせなければ、履歴書に志望動機が書けません。運よく転職できたとしても、転職後に「こんなはずじゃなかった」とギャップに苦しむ可能性が高くなります。
今後のキャリアプランをしっかり立てる
将来自分がなりたい姿を思い描き、今後のキャリアプランをしっかり立てることが大切です。目指したい方向が明らかになれば、今やるべきことや自分に足りないことが見えてきます。
キャリアプランを立てないままのらりくらりと転職を繰り返していると、あっという間に年齢だけ重ねてスキルや能力が何も鍛えられないまま終わってしまいます。
自分の可能性やキャリアのフィールドを広げるためにも、具体的にキャリアプランを立てたうえで転職活動を進めましょう。
自分のセールスポイントを把握する
しっかり自己分析をして、自分のセールスポイントを把握しましょう。
今までの仕事を通して「何が好きなのか」「得意なことは何か」「達成感を強く感じるのはどんな時か」を書き出し、その理由も具体的に掘り下げていきます。とことん自分と向き合うことで、自分の強みが浮き彫りになるはずです。
転職回数が多い場合はアピールポイントが増えてしまいがちですが、それぞれの仕事で得た強みを俯瞰的に見て、共通のセールスポイントをあぶり出しましょう。
セールスポイントを自覚し、具体的なエピソードを交えて自分の強みを伝えることが大切です。
自分にできること・今後やりたいことを再確認する
今の自分には何ができるのか、そして今後やりたいことや挑戦したいことを再確認することが大切です。
自分にできることを明確にするための手段として、キャリアの棚卸しを行うといいでしょう。今までのキャリアを振り返り、実績や成果、スキルや経験を見つめ直すことが大切です。
今後やりたいことに関しては、今の自分にできることを極めていく中でやりたいことが開花することもあります。また、将来の目標や理想の状態から逆算することでやりたいことが見えてくるはずです。
複数回の転職で得たスキルや実績を洗い出す
転職を複数回重ねることで得たスキルや実績を具体的に洗い出しましょう。
転職回数が多いことに負い目を感じてしまう人が多いかもしれません。しかし、それぞれの会社で経験したことはあなたにとってプラスになったものも数多くあるはずです。それらを積極的にアピールしましょう。
1社目で得たスキルを2社目でどのように活かしてきたのか、2社目で上げた実績を3社目でさらにどのように積み上げたのか。具体的に説明できるように準備することが大切です。
コミュニケーション能力を高める
社内外誰とでも分け隔てなく良好な関係を築いていけそうだという印象を与えられるため、コミュニケーション能力を高めましょう。
コミュニケーション能力を高めるためには、まずは信頼関係をじっくり築いていき相手の話をよく聞くことを心がけるようにしてみてください。相手の話から話題を広げて会話のキャッチボールを続けることが大切です。
伝える際は、結論から端的に述べたうえで5W1Hを意識し分かりやすく伝えられるように意識しましょう。日々の鍛錬により、コミュニケーション能力が少しずつ高まっていくはずです。
転職市場が盛んな時期を考慮する
4月から新年度となる企業が多いので、2~3月は転職市場が盛んな時期にあたります。この時期を考慮したうえで転職活動を進めましょう。
転職市場が盛んであれば、それだけ求人企業の数も多くなるため選択肢が広がります。その時期に照準を合わせられるように、12月には応募書類の準備を始めたほうがいいでしょう。
今勤めている会社を退職する準備も忘れてはいけません。自分が引き受けている仕事を完遂すること、引継ぎの準備など滞りなく進められるように計画的に行動することが大切です。
専門性が高い職種を検討する
ITやクリエイティブ業界、医療業界といった専門性が高い職種を検討してみるのも1つの手です。これからの時代、ITやクリエイティブ業界はどんどん発展していきます。
システムエンジニアやWebデザイナーなど専門性の高い職種は重宝されるでしょう。ただし、これらの職種で働くためにはプログラミングやデザイン、Webマーケティングのスキルを身につけることが必要不可欠です。
また、高齢化社会が進んでいく日本にとって医療業界は無くてはならない業界です。専門性の高い職種としては、医師や看護師、介護福祉士などが挙げられます。
いずれも国家資格が必要になるため並々ならぬ努力が必要です。しかし、国家資格を持っていることは大きな武器となり、需要がなくなることはないので、少しでも興味・関心があるのであれば検討してみるといいでしょう。
スキルや経験が浅い人は人材不足の業界も検討する
特化したスキルがない人や経験が浅い人は、人材不足の業界も前向きに検討してみましょう。
帝国データバンクが行った『人手不足に対する企業の動向調査(2018年7月)』によれば、正社員が不足している企業は50.9%にのぼります。その中でも情報サービス、運輸・倉庫、建設の順番で不足しているようです。
このように人材不足の業界は未経験でも積極的に採用する企業が多いため、選択肢の1つに入れることをおすすめします。ただし、やみくもに人材不足の業界を狙うのではなく、その企業について調べることを忘れないようにしてください。
転職回数が多い人の職務経歴書の書き方
転職回数が多い人は、職務経歴書に記載するボリュームが増えてしまいがちですよね。しかし、職務経歴書に何もかも書けばいいというものではありません。
転職回数が多くても、思わず目を引く職務経歴書の書き方をご紹介します。
A4用紙2枚以内にまとめる
あれもこれもとだらだらと書かずに、どんなに長くてもA4用紙2枚以内にまとめましょう。
転職回数が多い人は、それだけ携わってきた仕事が多いので書きたいことも多くなりがちです。しかし、まとまりのない長文は読みづらく、要点も分かりにくくなります。
全てを書こうとはせず、本当に伝えたいことを具体的なエピソードを添えて簡潔に書くことが大切です。自分で読み直した際に分かりやすい文章になっているか、視覚的にも読みやすいかを意識して見直しましょう。
年代順ではなく業務内容別に書く
転職回数が多い人は、年代順ではなく業務内容別に書くようにしましょう。営業や経営企画など業務内容別にまとめ、それぞれの内容に沿って記載することで転職回数の多さが際立たなくなります。
また、求人企業の仕事内容とリンクする業務内容があれば積極的にアピールすることが大切です。職歴がバラバラの場合は、その都度どのような姿勢で仕事に取り組んできたのか、今までの経験を通して求人企業に活かせるスキルをしっかり記載しましょう。
軸になる自分の経験やスキル・実績を具体的に書く
今まで携わってきた仕事を通して、軸になる自分の経験やスキル・実績を抽象的な表現を避けて具体的に書くことが大切です。記載する際に、固有名詞や数字を取り入れると信ぴょう性が高まります。
今の自分を形成している職業経験、実績を上げるためにどのような行動を起こしたのか、どうやってスキルを高めてきたのか、徹底的に掘り下げて突き詰めましょう。
キャリアに一貫性があることを示す
転職回数が多くてもキャリアに一貫性があることを示すように心がけましょう。
キャリアに一貫性がないと、行き当たりばったりで仕事を選んできたのではないか、今が良ければそれで良いというように軽はずみな気持ちで仕事をしてきたのではないかと疑われることもあります。
様々な業界や職種を経験していたとしても、今まで携わってきた仕事の共通点を見つけましょう。その共通点とキャリアの目的を結び付けて説明できるようになれば、一貫性のあるキャリアを示せるはずです。
転職でステップアップしてきたことをアピールする
ただ単に転職を繰り返してきたのではなく、転職することでステップアップしてきたことを上手くアピールすることが大切です。
前職・現職と求人企業を比較し、その企業だからこそさらにステップアップできるということを説明してください。そして、転職をすることでどんな未来を手に入れたいのか、何を実現したいのか自分の想いを具体的に語りましょう。
貢献できること・やりたいことをアピールする
企業研究を念入りに行い、貢献できること・やりたいことをアピールしましょう。
求人企業がどのような仕事をしているのか、どのような人材を求めているのか理解していなければ貢献できることは分かりません。そのため、抜かりがない企業研究が重要になります。
なぜ他の競合企業ではなく求人企業なのか、今までの職業経験や身につけているスキルで何ができるのか、具体的にどう役に立てるのか説明できるようにしておきましょう。
加えて、求人企業に入社したらどういうことをやりたいのかアピールできれば企業に好印象を与えられるはずです。
転職回数の多い人が面接で聞かれる質問と回答例・注意すること
ここでは、転職回数の多い人が面接で聞かれる定番の質問と回答例を見ていきます。それぞれの質問に答えるうえでのワンポイントアドバイスも要チェックです。また、面接で注意することもご紹介します。
面接での定番の質問と回答例
下記5つは、必ずと言っていいほど面接で聞かれる質問です。そのため、しっかり対策しておく必要があります。聞かれたことに対して、結論から簡潔に答えることを心がけましょう。
Q1.なぜ転職回数が多いのですか?
A1.確かに転職回数は多いと思いますが、私は●●という目標を達成するために転職で●●や●●のスキルを身につけてきました。御社では●●のスキルを活かしてお役に立ちたいと考えております。
Q2.応募された仕事のどこに魅力を感じましたか?
A2.今後さらに需要が高まっていく●●の仕事内容に力を入れている御社に魅力を感じ、ぜひ働かせていただきたいと感じました。私が今までの転職によって極めてきた●●のスキルを、御社が募集している●●の事業に携わることで貢献させていだきたいと考えています。
Q3.転職理由を教えていただけますか?
A3.●回の転職で身につけた●●のスキルや、●●の経験を活かせるのは●●のサービスを提供している御社だと感じたからです。このサービスを一人でも多くの人に満足してもらえるよう、●●の役割を担いサービスを伸ばしていきたいと考え転職を決意しました。
Q4.今まで失敗した経験を教えていただけますか?
A4.新しく自分が担当になったクライアントに、今までの経験を踏まえて「これを提案をすれば喜んでもらえるはずだ」と高を括りました。プレゼン資料を作成し企画を提案しましたが、クライアントの意向は全く異なりお叱りを受けました。この経験から、自分目線で考えず相手が何を求めているのか多角的に考えることを心がけるようになりました。今では、相手目線で考えることはもちろんですが、入念な下調べも欠かさず行う癖がつき、クライアントと同じ方向を向けるようになったと自負しています。
Q5.ブランクの理由とブランク期間は何をしていたか教えていただけますか?
A5.この1年間、●●の資格を取得するために猛勉強していました。その甲斐あって、資格を取得することができました。私は今までの仕事で培ってきた●●のスキルに加えて、●●の資格を今回御社が募集している新規プロジェクトに活かし貢献したいと考えています。
面接で注意すること
続いては、面接で注意したほうがいいことを2つご紹介します。
自責思考で語る
転職回数が多い原因を、環境や他人のせいにせず自責思考で語ることを心がけましょう。
「昔ながらの社風が合わなかった」「上司や先輩の態度が酷かった」「残業が多くて耐えられなかった」などの理由で転職回数が多くなったことが事実だとしても、そのまま伝えると企業から良く思われません。
物事が上手く進まなければすぐに他責思考で捉える人間だと思われてしまい、採用しても同じことの繰り返しになるのではないかと危惧されるでしょう。自責思考で物事を考えることで人間的成長につながります。
全ての出来事は自分に原因があることを前提に、改善するためにどうするべきか考えたうえで語ることが大切です。
転職先への入社意欲をアピールする
転職回数が多いと入社意欲が伝わりにくいため、どうしてもその企業でなければならないという確固たる熱意をアピールしましょう。
「御社に入社したいです」「お役に立てるよう精一杯頑張ります」といった抽象表現ではなく、複数社経験したことを踏まえて、求人企業で自分に何ができるのか、何を実現したいのか強い意志を見せてください。
他にも入社意欲をアピールする方法は、企業に積極的に質問することです。ただし、調べたらすぐに分かるようなことや、福利厚生、残業時間などの質問は避けましょう。
具体的な事業内容や今後の展望、市場や競合など仕事に関わることを質問することで、入社意欲をアピールできるはずです。
転職回数が多い人は転職エージェントを活用しよう
転職回数が多い人は、転職エージェントを活用するといいでしょう。転職の回数が多くても、エージェントがしっかりサポートしてくれるので、登録して損はしないはずです。
しかし、転職エージェントにはたくさんの種類があります。自分に合う転職エージェントの見つけ方が分からない人は、あなたにおすすめの転職エージェントをタイプ別に選べるようにしています。以下の記事にてまとめていますので、参考にしてみてください。
転職回数が多くても採用したいと思われる人材になって成功を掴もう
転職回数は何回までなら大丈夫なのか気になったり、転職回数が多いことに劣等感を抱いてしまいがちですよね。しかし「転職回数が多い=転職で不利になる」とは限りません。
転職回数が多くても転職に成功するポイントを押さえて、求人企業に採用したいと思われる人材になる努力をしましょう。そうすれば、きっと転職成功への扉が開かれるはずです。