派遣社員が退職に至るトラブル事例や、退職時に起こりうるトラブルについてお知らせします。
また実際に派遣先を退職するとなったら、派遣社員には契約期間が定められていたり、派遣先と派遣元へ配慮しなくてはならないなど、正しい退職手順を踏まなければトラブルに発展してしまう可能性もあります。
こちらの記事では、その点も踏まえ、派遣先をスムーズに辞める方法もあわせてお伝えしますので、退職時のトラブルを無くすための参考にしてみてください。
派遣社員が退職に至るトラブル事例
派遣社員が退職に至るトラブルや退職にあたってのトラブルは、以下の通りです。
・派遣の契約更新時の条件が合わない
・転職先が決まってしまった
・仕事内容や人間関係が合わない
・セクハラやパワハラを受ける
・退職を認めてくれない
それぞれ解説していきます。
有休・育休・産休などが認められない
派遣社員には有休や育休、産休なんてないと取得を拒否されるというトラブルもあります。
しかし本来、派遣社員でも有給休暇の取得は可能で、雇入れから6ヶ月間継続して勤務した場合に10日間の有休が与えられます。
第39条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
引用:労働基準法第39条 – Wikibooks – ウィキブックス
また育休や産休が取れないとなると退職しかないと考える方も多いかと思いますが、育休や産休についても取得が可能です。
育休は1年以上雇用されているなど条件がありますが、産休については条件なく取得ができます。
>>子育てをしながら働き続けたい. あなたも取れる! 産休&育休. – 厚生労働省
派遣の契約更新時の条件が合わない
派遣社員には契約期間が設けられており、そこで契約終了となる場合と契約が更新となる場合があります。
契約が更新となり引き続き勤める時には、新たな契約を結ぶようになります。
新たな契約条件は前回と同じ内容の時もあれば、条件が変更されている場合もあり、条件が合わないと更新するつもりであったにも関わらず、退職に至るというトラブルもあります。
転職先が決まってしまった
派遣社員で働きながらも正社員での就職を目指し、転職活動を行っている方もいるでしょう。
転職活動の結果、派遣の契約期間中に転職先が決まる場合も考えられます。
契約期間満了と共に再就職できれば問題ありませんが、契約途中で転職先が決まれば契約期間中でも退職に至る場合もあるでしょう。
しかし、契約途中の退職はトラブルに発展する可能性があります。
仕事内容や人間関係が合わない
派遣先の仕事内容や人間関係が合わない場合もあるでしょう。
仕事内容は派遣前にある程度は確認できますが、実際に働いてみると思っていた仕事内容と異なる部分もあるかもしれません。
また人間関係については実際に勤務していくうちに悪化する場合もあり、派遣社員が最も抱えやすいトラブルです。
精神的な問題を抱えるケースもありますので、精神的な病気が深刻になるような状態であれば、無理をせず退職するのがおすすめです。
セクハラやパワハラを受ける
派遣先でセクハラやパワハラの被害に遭ってしまう可能性もあるでしょう。
セクハラやパワハラはデリケートな問題であり、相談もできず我慢している方もいます。
派遣先でセクハラやパワハラを受けた場合には、我慢せずまずは派遣元へ相談するようにしましょう。
もし派遣元へ相談しても解決しない場合や、セクハラやパワハラにより精神的に負担が大きい場合には退職した方が良いと言えます。
退職を認めてくれない
退職を決意しても退職を認めてくれない場合や、引き止めに遭う退職時のトラブルもあります。
また派遣先だけでなく派遣元からも、引き続き勤務して欲しいと言われる場合もあるでしょう。
契約終了時期であれば更新しなければそのまま辞められますが、契約期間中の退職については後述で詳しく解説していきます。
派遣社員が抱える派遣先とのよくあるトラブル
派遣社員が退職にまでは至らないとしても、普段どんなトラブルを抱えているのかご紹介していきます。
派遣社員が抱えているトラブル、そして派遣社員だからこそ起こりうるトラブルは以下の通りです。
・労働時間を無視されたり残業代が加算されない
・契約内容にない仕事をさせられる
それぞれのトラブルを解説していきます。
派遣社員の採用基準や待遇で差別がある
派遣社員と正社員では採用基準や待遇に差別があると感じる場合もあるでしょう。
派遣社員は派遣先の企業が直接雇用するわけありませんし、期間限定と考えられています。
福利厚生の充実やスキルアップのための費用などを派遣社員に投入するのは、無駄と考えている企業も少なからずあるのが現状です。
労働時間を無視されたり残業代が加算されない
派遣社員だからと労働時間を守ってくれなかったり、残業代が貰えなかったりするトラブルがあります。
派遣社員であっても労働基準法で定められている、1日8時間、1週間に40時間を超えて働いた分の残業代はきちんと支払われます。
第32条
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2.使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
引用:労働基準法第32条 – Wikibooks – ウィキブックス
労働時間の無視や残業代の未払いがあり、派遣元に相談しても解決しない場合には、証拠を集め残業代の請求を自ら行う必要があります。
契約内容にない仕事をさせられる
派遣社員が行う業務の内容は契約で定められていますが、派遣先から契約内容以外の仕事を依頼される場合もあります。
契約内容以外の仕事をさせるのは契約違反なので断って問題ありませんが、派遣先との関係が悪化しないよう引き受けてしまう方もいるでしょう。
一度引き受けてしまうと、その後断れなくなり継続して契約内容以外の仕事をさせられてしまうというトラブルがあるので、最初から断った方が無難です。
派遣先をバックレるとどうなる?リスクもご紹介
派遣先でトラブルがあると、バックレてしまいたい気持ちになる方もいるでしょう。
しかし派遣先をバックレて辞めた場合には、以下のようなリスクがあります。
・働いた分の給料が未払いとなる可能性がある
・連絡が取れないと警察に捜索届を提出されてしまう可能性もある
・契約期間途中にバックレると違約金が発生する場合がある
・派遣の再登録や次の仕事の紹介はしてもらえない
・損害賠償請求される可能性がゼロではない
上記のように派遣先をバックレると多くのリスクがあるので、正しい退職手順を踏むようにしましょう。
>>派遣社員がバックレてしまうリスクについて詳しくはこちらをご覧ください。
※ただいま執筆中です。公開までしばらくお待ちください。
派遣社員の正しい退職手順とは
トラブルにならないよう円満退職するには、正しい退職手順を踏む必要があります。
派遣社員の正しい退職手順のポイントは以下の通りです。
・契約期間終了1ヶ月前を目安に契約満了の手続きを進める
・引き継ぎをしっかりと行う
・制服や鍵など支給品を返還する
それぞれの手順を詳しく解説していきます。
派遣会社に電話して退職意思を伝えまずは相談
派遣社員の場合は派遣先の会社ではなく、派遣元である派遣会社へ退職の意思を伝えます。
派遣元に相談し退職時期などを話し合った上で、派遣元から派遣先へ連絡をしてもらうようにしてください。
派遣元よりも先に派遣先へ退職の意思を告げたり、派遣元から連絡がいく前に自分自身で派遣先に申告するような行為は、トラブル回避のためにも控えるようにしましょう。
契約期間終了1ヵ月前を目安に契約満了の手続きを進める
契約期間の終了時期が近づいてきたら、契約期間終了の1ヶ月前には派遣元へ契約を更新しない旨を伝えましょう。
契約期間終了間近で更新しないとなると、手続きが円満に進まない可能性もあります。
契約を更新しない場合は、なるべく早く派遣元へ伝え契約満了の手続きを進めるようにしてください。
引き継ぎをしっかりと行う
派遣社員であっても引き継ぎはきちんと行ってから退職をしましょう。
引き継ぎ書などを作成しておけば、よりスムーズに引き継ぎを進められます。
特に自分しか知り得ないパスワードや保管場所、仕事内容については必ず申し伝えるようにしてください。
制服や鍵など支給品を返還する
派遣先から支給されている制服や鍵など貸与品は、迅速に返還しましょう。
派遣先へ直接返却するのか、派遣元を通すのかわからない場合は、一旦派遣元に相談してみるのがおすすめです。
雇用関係にあるのは派遣元ですので、退職にあたっての疑問点などは、まず最初に派遣元へ相談するというのを覚えておきましょう。
契約期間を満了しないと退職できない?
派遣社員を退職すると言っても契約期間に定めがあるので、無条件でいつでも退職できるというわけではありません。
トラブルにならないためにも、退職するタイミングには注意が必要です。
どのようなタイミングで退職をするのが良いかご紹介します。
契約期間満了による退職がスムーズ
派遣契約には期間の定めがありますので、契約満了に合わせ退職をするのが最もスムーズに退職できるでしょう。
原則的に契約期間中の退職は認められません。
しかし契約満了まで待てないという方へ、契約期間中の退職について解説していきます。
契約期間途中の退職は「やむを得ない事由」ある場合に限る
契約期間中の退職は民法第628条で、やむを得ない事由があるときは認められています。
第628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用:民法第628条 – Wikibooks – ウィキブックス
自己都合による退職だと認められない場合もある
契約期間中の退職はやむを得ない事由がある時だけですので、自己都合による退職は認められない場合が多くなります。
ただし退職したいという気持ちを抱えて勤務し続けるのは、精神的にも負担が大きいでしょう。
やむを得ない事由とは、どのような事由が該当するのかを続いて見ていきましょう。
家庭の事情(転居、家族の介護など)は考慮される可能性もあり
やむを得ない事由には明確な定めはありません。
しかし家庭の事情である転居や家族の介護が必要という事由であれば、退職を認めてくれるケースが多いでしょう。
また自身のケガや病気などで業務の継続が難しい場合も、契約途中の退職が認められる可能性が高くなります。
派遣会社や退職代行サービスに相談するのがおすすめ
契約期間の退職でも退職を希望する場合は、派遣元に相談してみると良いでしょう。
また退職を認めてくれない場合や、派遣元にも相談しにくいと言う場合には、退職代行サービスを利用するのもおすすめです。
退職代行サービスは円満退職できるよう導いてくれますので、まずは無料相談を気軽に利用してみてください。
派遣社員の退職に関するよくある質問
派遣社員の退職に関するよくある質問に回答していきます。
派遣社員の退職に退職届は必要?
A.退職届は不要です。
派遣社員は派遣先にも派遣元へも退職届を提出する必要はありません。
また退職届の提出を求められても、提出する義務はないので断ってしまって問題ありません。
派遣先へ退職の挨拶は必要?
A.はい。必要です。
派遣社員であっても退職の挨拶はきちんと行いましょう。
簡潔な内容でかまいませんので、朝礼時や終礼時、またメールで送付するのも良いでしょう。
退職時の自己負担はある?
A.派遣会社で社会保険に加入している場合は注意が必要です。
派遣会社で社会保険に加入していて退職し、すぐに次の仕事を行わない場合は、健康保険や厚生年金保険などの切り替えが必要となります。
社会保険料は勤務時は派遣会社との折半になっています。退職をしたら任意で継続することもできますが、全額自己負担が必要です。
派遣社員は即日退職できますか?
A.やむを得ない事由がある時のみ可能です。
民法でやむを得ない事由がある時は、直ちに契約の解除ができると定められています。
即日退職を希望する理由が、やむを得ない事由に該当するかをまずは確認してみましょう。
派遣社員のトラブル&退職についてまとめ
派遣社員が退職に至るトラブルや普段抱えやすいトラブル事例のご紹介と共に、派遣社員の退職の流れについても詳しくお伝えしてきました。
派遣社員が直接雇用契約を結んでいるのは派遣元ですので、派遣先とのトラブルは最初に派遣元へ相談をするようにしてください。
また派遣社員の退職については契約期間に定めがあるなど特殊なところもありますので派遣元に相談をしてみるか、もしくは退職代行サービスの無料相談を利用して、まずは話を聞いてみるだけでもおすすめですよ。