転職を決意したものの、自己分析のやり方が分からず困っている人も多いのではないでしょうか。つい疎かにしがちですが、自己分析の出来栄えが転職成功の分れ道と言っても過言ではありません。
当記事では、自己分析のやり方とおすすめの自己分析診断ツールを徹底的に解説します。なぜ自己分析が転職活動を始めるうえで重要なのか、自己分析をする際の注意点や転職活動に活かす秘訣もあわせてご紹介。
自己分析のやり方と目的を理解したうえで、転職成功に向けて動き出しましょう。
自己分析のやり方~転職成功に向けた9ステップ~
早速、自己分析のやり方をご紹介します。9ステップを順番に踏んで、転職を成功させるための土台を築きましょう。
マインドマップを作成する
頭の中の思考を「見える化」できるマインドマップを作成しましょう。マインドマップの作成にあたり、中心に「自分」というメインワードを置くことで転職活動につながる自己分析に役立ちます。
そこから線を伸ばし、「好きなこと・嫌なこと」「やりたいこと」「今までの仕事」など「自分」に関連するワードを書き足していきましょう。あなたの思考が視覚化され、情報を整理しやすいことが最大のメリットです。
慣れないうちは時間がかかり、ワードが思い浮かばず行き詰まることがあるかもしれません。しかしマインドマップを作成することで自分を深く掘り下げることができ、自分が大事にしている価値観が明らかになるでしょう。
モチベーショングラフを作成する
自分の過去と徹底的に向き合うことで自分の性質をしっかり理解できるモチベーショングラフを作成しましょう。
紙とペンを用意したら、物心がついた時から現在までにおいてどのような出来事や経験によってモチベーションが上下してきたか振り返えります。「なぜモチベーションが上下したのか」を紐解いていくことが大切です。
モチベーショングラフを作成することでモチベーションを可視化できるので、自分の価値観や大切にしていることが分かります。また、モチベーションの源が分かるため、どうすればモチベーションを上げられるか・維持できるかを見直せるでしょう。
Will・Can・Mustシートを作成する
今の自分が理解できるWill・Can・Mustシートを作成しましょう。
Will・Can・Mustの意味は下記のとおりです。
Can:できること・持っているスキルや能力・強み
Must:やるべきこと・責任・求められていること
Will・Can・Mustを書き出してみてください。Willがない場合は、CanもしくはMustから洗い出すことをおすすめします。
仮にどんなにやりたいこと(Will)があったとしても、やるべきこと(Must)をいい加減にして地に足が着いてない状態では、人生をいい方向に導くことはできないでしょう。
ただし、やるべきこと(Must)で手一杯の状態では精神的につらくなります。一方、できること(Can)を磨いていかなければやりたいこと(Will)は成就できません。
つまり、Will・Can・Must3つのバランスが重要です。Will・Can・Mustシートを作成することで、今の自分に足りないものや磨いていくべきスキル、強みや弱みを理解できるでしょう。
キャリアとスキルの棚卸し
キャリアとスキルの棚卸しをする際、社会人経験があるかどうかでやり方が変わります。自分がどちらなのかを把握したうえで棚卸しをしていきましょう。
社会人経験が3年以上ある場合
今まであなたが携わってきた仕事内容を整理しましょう。
どのような経験をしてきたのか、どのようなスキルが身についたのか書き出してください。棚卸しをすることで、自分が得意とすることや逆に足りていないスキルが分かります。
仕事を通してどのような成果や評価を得たか整理することでアピールポイントが明確になり、今後のキャリアを考える際に役立つでしょう。
第二新卒など社会人経験が浅い場合
仕事以外で自信があることや得意なことを整理しましょう。
例えば学生時代のクラブ活動や趣味、アルバイトなどの経験からもスキルの棚卸しは可能です。それらの経験を通して自分が工夫したことや実績を書き出してください。
今まで自分がどのように向き合ってきたのか、どんな努力をして結果はどうだったのか自分の言葉で説明できるようにしましょう。
今までの経験をあぶり出す
今までの人生を通して心が動いた経験や苦労した経験をあぶり出しましょう。
仕事だけではなくプライベートにおいても振り返ることが大切です。楽しかったことや嫌だったことなど、具体的なエピソードを書き出してください。
自分のものの見方や考え方に気づくことができるので今後改めるべき点も分かります。どんな些細なことでも構わないので、経験を一つ一つ思い出しながら整理しましょう。
強み・弱みを言語化し整理する
あぶり出した過去の経験から自分の強み・弱みを言語化し整理しましょう。
強み・弱みを客観的に見つめることで企業が求める人物像と合致しているか明確になり、どういった企業に応募するべきか分かるようになります。
少しでも自分をよく見せようという心理が働くかもしれません。しかし、取り繕っても必ず本性はバレるものです。ありのままの自分と向き合うことを心がけましょう。
自分の性格・価値観を客観的に分析する
仕事において、例えばリーダーシップ型なのかフォロワー型なのか、几帳面か大雑把か、何を大事に思っているのかなど、自分の性格・価値観を客観的に分析しましょう。
自分自身を客観視するのが難しいと感じる場合は上司や先輩、家族や友人からかけられた言葉を思い出してみてください。「真面目だね」「決断力があるね」「お金よりも時間を大切にしているんだね」など何かしら言われたことがあるはずです。
自分の性格や価値観を把握できれば仕事に対してどんな姿勢で臨んでいるのか、何に重きを置いているか分かるでしょう。
今後目指したい姿・ビジョンを描く
3年後、5年後、10年後さらにリタイア後まで含めたうえで今後目指したい姿・ビジョンを描きましょう。
どんな働き方を望むのか、どんな自分になりたいか、高めていきたいスキルは何かといったことをしっかり考えることが大切です。ビジョンが明確になれば、求人を見て迷ったり転職の軸がブレることがなくなり、企業や仕事が選びやすくなります。
おすすめの自己分析ツール
自己分析は時間をかけて丁寧に行うことが大切ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。ここでは、自己分析の手助けをしてくれるツールを6つご紹介します。
自己分析ツールは試す価値はある?
自分で行う自己分析とあわせて自己分析ツールを利用するのであれば試す価値はあります。
ただし、自己分析ツールだけで完結させるのはおすすめできません。過去の経験を一つ一つ振り返り、自分の頭で考え整理してこそ的確な判断ができるからです。
一方で自己分析ツールは気軽に診断できるうえ無料のものが多く、質問内容も詳細で結果も丁寧に説明してくれるものが多いです。自己診断ツールは1つの手段として積極的に活用しましょう。
おすすめの自己分析ツール
早速、自己分析を手助けしてくれるおすすめの自己分析ツールを見ていきましょう。
グッドポイント診断
リクナビNEXTが運営する【グッドポイント診断】は、決断力や継続力など、18種類の特性から5つの強みを分かりやすく教えてくれます。また、リクナビNEXTに求人を掲載している企業から診断結果をもとにスカウトメールが届くこともあるようです。
診断時間はおよそ30分で、2つの選択肢からなる質問にどんどん答えていく流れになります。リクナビNEXTへの会員登録が必要ですが、詳しい診断結果が出るので試してみるといいでしょう。
エニアグラム
ホイミー事務局が運営する【エニアグラム】は、90問の質問に答えることで性格を9つのタイプから診断してくれます。診断時間はおよそ20分で登録は不要です。
すぐに無料診断ができるだけではなく、かなり詳しい診断結果が得られます。丁寧なアドバイスも書いてあり、転職活動を始めるうえで参考になるでしょう。
SKIT脳力診断
【SKIT脳力診断】は、考える力・行動する力・対人能力・健康能力・行動特性・モチベーションタイプの6つの項目に分けられ、さらにその項目ごとに細かく能力が書かれており詳しい診断結果が出ます。
診断時間はおよそ65分と長いのですが、それぞれの項目の総合点や細かい分析結果を見られるので非常にクオリティが高い診断ツールと言えるでしょう。
適職診断
キャリアインデックスが運営する【適職診断】は、39個の質問に答えると性格の長所とマイナスポイント、考え方の傾向や仕事に求めるもの、強みや改善ポイントが明らかになります。
診断時間はおよそ15分です。気軽に取り組めるので隙間時間に活用してみるといいでしょう。
転職力診断テスト
キャリア転職サイトが運営する【転職力診断テスト】は、転職力の点数が判明し予想内定社数や予想年収が分かるうえに、交渉・説得力やビジネス基礎能力などを含む6つの分野ごとに分析結果が出ます。
診断時間はおよそ10分です。診断結果もその場で見られるので忙しい人でも手軽に試せるでしょう。
ストレングスファインダー
ギャラップ社が運営する【ストレングスファインダー】は、人間関係構築力・影響力・実行力・戦略的思考力という4つの資質のうち、どの資質を強く持っているかという診断結果が得られます。
ストレングスファインダーは有料です。診断の受け方は3通りあります。
・ギャラップ社の公式サイトから直接アクセスコードを購入する
・公式スマホアプリをダウンロードし料金を支払う
料金は診断内容によって変わるためホームページで詳細をご確認ください。
自己分析が転職活動で重要なのはなぜ?
そもそも、なぜ自己分析が転職活動を始めるうえで重要なのか疑問に感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
目的意識があるのとないのとでは、取り組む姿勢もモチベーションも大きく変わります。自己分析の目的をきちんと理解したうえで取り組むようにしましょう。
本当に転職するべきか考え直すため
転職したいという気持ちが一時的なものではないか、今まで築き上げたキャリアを手放してでも転職が必要なのかなど、本当に転職するべきか考え直すために自己分析は必要不可欠です。
自己分析をすることで転職を考え始めたきっかけを見つめ直すことができます。転職したい理由が他責思考になっていないか、今の会社では実現できないのか判断するうえで役立つでしょう。
企業選びの軸を明確にするため
自己分析をすることで得意分野は何か、今後スキルを磨いて挑戦したい仕事は何か、どのような働き方が自分にとって幸せなのか見えてくるので、企業選びの軸が明確になります。
数多くの求人がある中で企業選びの軸が確立できていなければ、求人情報に翻弄され一貫性のない転職活動になります。その結果、どこからも内定をもらえないことも少なくありません。
企業選びの軸が明確になれば深い考えなしに求人に応募することが無くなり、自分の価値観に合った企業だけに応募できるため効率よく転職活動を進められるでしょう。
他の求職者に負けないアピールポイントを見つけるため
自己分析によりアピールポイントがハッキリするので他の求職者に負けないアピールポイントを見つけられます。アピールポイントを認識できていなければ、内定を勝ち取ることは難しくなるでしょう。
アピールポイントを見つけるために自己分析は非常に重要です。自分を採用することで企業が得られるメリットをきちんと説明できるようにしましょう。
自分を理解したうえで面接官に伝えられるため
自分の特性を理解できていれば面接官に自分の言葉で伝えられるため自己分析は欠かせません。自分と向き合わないまま面接に挑んでも、その場しのぎの薄っぺらい言葉しか出てこないでしょう。
自分を理解できていないと、自分は企業が求める人物像に当てはまるのかさえ分かりません。転職面接に合格するためにも自己分析は大切です。
入社後のミスマッチを防ぎ自分に合う転職先を見つけるため
自己分析をすれば入社後のミスマッチを防ぎ自分に合う転職先を見つけられるようになります。自己分析が不十分だと、転職するうえで譲れない条件やどんなキャリアを築きたいか見えてきません。
自己分析を疎かにすると、「思っていた仕事と違った」とミスマッチの原因になり、挫折を味わうことが多いです。きちんと自己分析ができていれば、転職に対する納得度が上がるでしょう。
自己分析の注意点
続いて、自己分析をする際の注意点を4つご紹介します。これらの注意点を踏まえておかないと、自己分析の効果が半減することになりかねないので心して見ていきましょう。
感情と思考を切り離して自己分析する
マイナス感情をひとまず置いたうえで客観的に現状を見直し自己分析を始めましょう。マイナス感情を抱いたまま自己分析に取り掛かると、自信を喪失し過小評価したり転職する目的自体を見失うこともありえます。
転職を考える人の多くは現状に対して不安や不満を抱いているケースが多いです。「人間関係がつらい」「給与や年収が低い」「仕事内容が面白くない」などネガティブな理由が根本にある場合、それらを転職の動機にしてはいけません。
ネガティブな理由に対し、「自分にできることは何か」「これから自分がどうすればいいか」というポジティブな姿勢で向き合うことで自己分析が好転するでしょう。
論理性を身に着け自己PRにつなげる
面接では、主観的ではなく客観的な自己RRが求められるため論理性を身に着けることが重要です。
例えば単に「協調性があります」と言うだけでは何の説得力もありません。今まで携わってきた仕事において具体的にどのような取り組みをしたのか、その結果実績や社内外からの評価はどうだったのか筋道を立てて説明する必要があります。
自分の人間性を分析し、自分の良さを引き出すために、自己分析があることを念頭に置いて進めましょう。
短所をマイナスに受け取らない
自己分析を進めると長所だけではなく短所も発見することになりますが、マイナスに受け取らず今までの行いを振り返って良い方向に持っていくことが大切です。
ただし、短所をあたかも長所のように捉えてはいけません。企業側に「自己理解が浅い」と思われてしまいます。
短所を認識したうえで、短所を克服するための努力や日々の業務で気をつけていることなど具体的に自分の言葉で説明できるようになりましょう。
自分の言葉で言い換える
自己分析で発見した自分の強みは自分の言葉で言い換えてアピールすることを心がけましょう。
インターネットで検索すると、自己PRの例文や具体的な強みの伝え方などがたくさん掲載されています。しかしそれらの例文を真似することはやめたほうがいいです。
人は心の中で思っていないこと、感じていないことは言葉で表現できません。面接官から質問された際、例文以上のことは伝えられないですよね。
魂のこもった言葉は面接官に伝わるはずです。自己分析でとことん自分と向き合い、今までの経験を掘り下げることであなたにしか語れないエピソードが出てくるでしょう。
自己分析を転職活動に活かすための秘訣
長い時間をかけて取り組んだ自己分析をどうやって転職活動に活かすのか知りたい人もいるでしょう。それでは、自己分析を転職活動に活かすための秘訣を5つご紹介します。
原体験に結びつける
自分だけではなく企業も納得できるため原体験に結び付けて説明できるようにしましょう。
自己分析により明らかになったこれからやりたいことや将来の希望は、「どこから生まれたのか」「なぜそう感じるのか」といった原体験を深く追求することが大切です。
原体験が明確になれば自分の想いをしっかり企業に伝えられ、企業から飛んでくる質問にも自信をもって答えられるようになり、双方にとって理解を深めることにつながるでしょう。
何度も自己分析をする
その日その時の状況や感情によって自己分析の結果は変わるため、何度も自己分析することをおすすめします。
労力がかかることは否めませんが、1回だけで自己分析を完結させるより時間をおいて何度も繰り返すことで自己分析の精度が上がります。理解を深めるためにも、自己分析の結果は何が書かれているのか繰り返し読みましょう。
自己観察・他己分析と併用する
感情面および心理面から深く掘り下げていく自己観察と、職場の先輩や同僚、家族や友人からどう見られているかを確認する他己分析とを併用しましょう。
自己観察では仕事やプライベートにおいて「なぜそう感じたのか」「なぜその選択をしたのか」というように、徹底的に「なぜ?」を繰り返すことが大切です。
感じたことや選択したことによる結果は一旦切り離し、自分の行いだけを観察してください。自己観察をするうちに自分の行動・思考パターンが見えてくるため自分の思い込みから脱却できるでしょう。
他己分析では、自分の長所や短所を含め自分自身に対するイメージや評価を、第三者の視点で教えてもらえるので、より客観的に見つめ直せます。意外な自分の一面を発見でき、より自分を客観視できるはずです。
自己観察と他己分析をバランスよく取り入れることで自己理解が深まるでしょう。
転職エージェントを利用する
ある程度自己分析を進めたら、転職のプロである転職エージェントを利用してみましょう。
転職エージェントに自己分析結果を相談すれば、キャリアアドバイザーがあなたのキャリアやスキルを見直し適切な助言をしてくれます。企業から欲しい人材と思われるためのアピール方法も教えてもらえるでしょう。
キャリアアドバイザーの経験や実力は異なるため、自己分析ツールと転職エージェントの診断結果は変わります。相談する際は複数の転職エージェントを利用しましょう。
おすすめの転職エージェントを以下の記事にてまとめていますので、参考にしてみてください。
自己分析を深めて転職成功の扉を開こう
自己分析は今の自分を徹底的に見つめ直したうえで転職活動を始めるための事前準備。時間も手間もかかるため、途中で投げ出したくなったり適当に終わらせたくなることもあるかもしれません。
しかし、自己分析は今後さらに充実した人生を歩むための大切な手段です。自己分析を深めて転職活動を行うことで、やがて転職成功の扉が開かれるでしょう。